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Kinjo News

金城学院高等学校 平和を考える日「ウクライナ支援プロジェクト」- 講演会前の生徒礼拝で企画生徒が語ること

中学校・高等学校

金城学院高校では、8月19日の出校日に、ウクライナから避難され日本(安城市)にいらしているリディアさんご夫妻をお招きして、一緒に礼拝を守り、講演をしてもらう企画を、高校YWCAが計画・開催しました。講演会は1年生から3年生の生徒全員が聞き、それぞれ平和について考えどのように向かい合っていくべきか、自分たちにできることは何かを考える機会になりました。この講演会の模様は数社のメディアにも取り上げられましたが、今回は、この講演会に先立って行われた高校YWCAによる礼拝の奨励要旨をご紹介します。

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聖書:ローマの信徒への手紙 14章 19節 『だから、平和や互いの向上に役立つことを追い求めようではありませんか。』

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おはようございます。私は、YWCA部部長の川崎有香子です。

「平和を考える日」を迎えました。今日のために、これまでさまざまな準備をしてきました。この夏の出校日に、ウクライナへのロシア侵攻の戦火から避難して来られた方を金城に迎えることをYWCAのメンバーと企画し始めたのは、1学期の始めでした。それが実現できるということが決まり、まず、私たちがしたかったのは、金城生の皆さんから、質問を書いてもらうことでした。

突然であったにもかかわらず、皆さん、しっかりとアンケートを書いてくださり、本当に、ありがとうございました。あのように、全校の皆さんに、アンケートという形で、わざわざ書いてもらったのも、「金城生みんなで、日本に避難して来られた方を迎えたい」という隠された願いがありました。その意図に答えてくださるかのように、皆さんからはたくさんの質問がありました。

皆さんが書いてくださった質問をもってゆきたい。そんな思いで、アンケートを、部員で手分けして一枚一枚読みました。質問は、どれも、私たちが、それまで考えてもみなかった内容であったり、避難されて来られた方への言葉の配慮があるものなど、考えさせられるものばかりでした。一クラスから2,3枚ずつ選んで、90ページほどの冊子を作り、類似している質問を整理しました。

その整理した質問をペタペタ模造紙に張り出し、それをカテゴリー分けしてゆきます。その作業をしてゆくことで、私たちの頭の中も整理できていったように思います。ウクライナ国内の質問であっても、今、ウクライナの進む方向を決めている「ウクライナ政府について」の質問。同じく、ウクライナ国内でも、「自覚的にロシアへの攻防のため武器をもって戦っている人たち」への質問。

それとは反対に、「ウクライナから逃れられず、もしくは行く先もなく、受け身的にウクライナに留まっておられる方」への質問。そのようなウクライナの方への「支援の形について」の質問。実際に「ウクライナから海外に逃れて来た方」への質問。そして、その中でも、「日本へ逃れて来た方」への質問。そんな風に質問を話しながら、グループ分けしながら、あるキーワードを見つけました。

それは、1年の質問で、「世界中に伝えたいことは何ですか?」という言葉でした。シンプルですが、とても私たちの心にささりました。現在、私たちは、ウクライナの現状を知る方法は限られています。最近は報道自体も少なく、日本に報道されてないことがたくさんあります。また、報道されても、一方的な偏った報道かもしれません。

今回、せっかく避難されて来られた方から、直接にお話を聞けるのだから、それを、私たち金城生だけに留めておかないで、みんなで、それぞれのできる形で「世界に伝えてゆけたらスバらしい」という結論にいたりました。さぁ、皆さん。今日は、貴重な時間になると思います。期待して、この後の4人の方々のお話を聞いてほしいと思います。そして、誰かに伝えてほしいです。


全校の皆さんの質問は、7月28日に、葛西さんご夫妻(2022年3月にウクライナから避難されてきた方)に、事前にインタビューしました。そのインタビューも有意義な時間でした。実際に、ウクライナを脱出するときの状況。避難する人たちが国籍など無関係に協力し合えたこと。ウクライナ国内の人は、今も、みんなで協力し合っていること。避難先で力となったのは、やはり人の心の温かさだったこと。

他にも、私たちと同年代のウクライナの学生のことも聞きました。学校は、ロシアの攻撃で壊滅しています。しかし、世界中に散らされても、ウクライナ国内外から先生方がオンラインで授業しているそうです。これには、胸が熱くなりました。戦争をマイナスの理由にしてないで、避難しつつ受験勉強をしている。そんな私たちと同世代の学生がいるというのです。私たちは本当に恵まれています。

他にも、日本では、報道されていないことばかり聞けました。私たち日本の高校生も、コロナウイルスの影響で、思うように高校生活が過ごせている訳ではありません。しかし、今、ウクライナの現状は、コロナウイルスに加えて、鳴り響くサイレンの中を逃げ惑わないといけません。しかし、その状況の中でも、自分ができることを精一杯に取り組んでいる学生がいることに、心から感動しました。

最後です。私は、今日のための準備をしながら、「平和」についてずっと考えてきました。これまでは、「戦争が起きていない世界が平和」くらいにしか思っていませんでした。しかし、ウクライナの実情を知ってゆくと、表面的には、戦争が起きていない日本にも、たくさんの戦争の種はあると感じ始めました。いじめがあり、偏見があり、差別があり、SNSだけでなく、私たちの周りにもあります。

そういう、たくさんの戦争の種が何かの原因で集ったら、日本も、再び戦争に突き進むかもしれません。だから、私たちは、そのような種に目を注ぎたいのです。むしろ、戦争の種ではなくて、平和の種を蒔きたいのです。さらに、平和の種を育てたいのです。そんな願いをもって、今日の平和を考える日を私たちは企画しました。聖書では、平和や互いの向上に努めることを勧めています。

ウクライナでは、状況はますます悪化し、実際に、私たちが想像もできない過酷な状況にあります。しかし、ウクライナ国内に留まっている人は、ほぼ、みんなボランティアで助け合い、より安心できる生活のために努力していると聞きました。自分が苦しい状況であっても、自分のことだけでなく、隣人を思い合っているのです。戦火の中でも、そこで平和の種を蒔く人がいることを知りました。

隣人を自分のように愛したいです。金城生みんなで、日本に暮らす人みんなで、世界中の人みんなで、国籍や民族を越えて、愛を分かち合ってゆきたいです。そんな平和な世界のために、私たちができることをしてゆきたいです。私たちの身の周りの戦争の種を取り除いて、私たち金城生は、平和の種を蒔きましょう。お祈りします。


天の父なる神様。今年も、平和を考える日がもてました。今日は、特別に、日本に避難して来られた方をお招きし、平和について深く考えます。すべてが遠い世界のことでは無く、同じ空の下で起きていること。だからこそ、金城生は平和の種を蒔けますように。今、ウクライナ国内外で悲しむ人、辛い思いをしている人の不安と恐怖を取り除き、平和と安心の光をお与えください。主イエス・キリストのみ名によってみ前にお捧げします。アーメン


(写真は礼拝の様子、奨励要旨中の個人名は削除)